カジュアルゲーム『へなへな』シリーズ
今回カジュアルゲーム『へなへな動物園』シリーズを開発した有限会社ポイントゼロ代表取締役梅田 正輝(ウメダ マサテル)氏にお話を伺うことができた。
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有限会社ポイントゼロについて
梅田社長:
1997年創業でして、今年で創立24周年を迎えました。
ずっとゲーム会社で、最初から今までゲーム作っています。
もともとコンシューマーゲームの企画を担当しており、シナリオ書いてゲームにして、そういう仕事をしていました。
そのあと、ちょっとうまくいかなくてWebブラウザゲームに転身しました。
そのままの流れで、いわゆるポチポチ遊ぶガラケーのゲーム、今に至ってスマートフォン向けゲームを作っています。
現在は自社開発をメインにおこなっています。
『へなへな』シリーズの特徴
梅田社長:
基本的にクレーンゲームをスマホアプリにしたものです。
素直にクレーンゲームを作っただけなのですけど、特徴的なのは景品のヌイグルミが本物のように「へなへな」しているので、よりリアリスティックに遊ぶことができます。
あと、景品のスートと言うか、いっぱいタイトルがあって、これは動物ばかり集めたゲームですよ。これはお魚ばかり集めたゲームですよ。とモチーフに合わせてタイトル分けているのが特徴です。
あとはちょっと商品の話ですけど、基本的にロングテールな品物なので
カジュアルゲームの中で延々と、細く長くやらせていただいております。
『へなへな』シリーズ、カジュアルゲームを作ったきっかけは?
インタビュアー:
特に人形が「へなへな」しているところが特徴ですよね。2013年にリリースしてますが、ここ数年ででたゲームでも「へなへな」した感じは結構人気になっていると思うのですが、
そもそも「へなへな」にしようと思ったきっかけはあったのですか?
梅田社長:
Autonomous Sensory Meridian Response(以下、ASMR)です。
いわゆる、これを凍らしてパーンってやったら気持ちいいとか、気持ちいい要素ばかりを集めたビデオダブがYou tubeで流行っていたのですよ。
一時期、結構なんか、ボーっと。他にやるコトもなくボーっと見ていることが多くて、気持ちいいモノを作ったら楽しいじゃないかと思ったことがきっかけです。
インタビュアー:
テーマとなるクレーンゲームとかはゲームセンターなどでよく遊んでらっしゃいましたか?
梅田社長:
僕はもともとゲームセンターのゲーム作っていました。
そんな流れで業界向けの展示会がありまして、「これからゲームセンターにこういう商品を置きませんか」というゲームセンターそのものを営業されているお客さん向けのイベントで、お店の人たちを集めて「こんな新しいもの作りました」って発表があるのですが
そういう場所だとデモンストレーションでめちゃくちゃ難易度を下げるんですよ。
普通のゲームセンターだと全然取れなくて、僕も大嫌いだったんですけど、クレーンゲームもこういうところで遊ぶと簡単に取れるんですよ。
それで遊ぶとめちゃくちゃ面白いんですよ。
それを知っていたので「簡単なクレーンゲームにしましょう」となりました。
『へなへな』シリーズはどのような方にプレイしてほしいですか?
インタビュアー:
レビューを見させていただきましたが、
爽快感があって気持ちいい、簡単に取れて楽しいという意見が多かったですね。
割合として女性が多いですがターゲットとして女性を想定されておりましたか?
梅田社長:
女性の方とお子さん、いわゆるクレーンゲームの層ですね。
私一人で開発していることもあり「商品戦略的にロングテールであれ」っていうのがあるのですけど、ハイペースの開発は、単純にやってられないんで。
ハイペースでたくさんの物を作ったりはしていないので、1回作ったらどれだけ長く遊んでもらえるかがけっこう大きなポイントだったりするんですよ。
そうするとシステムの中に、例えばそう、新しい景品を追加していくことで長く遊んでもらえるみたいな、そういう要素。
インタビュアー:
あたらしい機能ですか?
梅田社長:
いや、機能、ファンクションを新しく作るのは大掛かりなので景品です。
UFOキャッチャーであるならば、新しい景品を付けていくことで、どんどん、今回「カエル」が入ったよー、「キリン」が入ったよー。という形で。
そういう意味ではUFOキャッチャーっていう行為だけに、いわゆるASMRな揮発性が高い遊びに終始してしまうとそれで終わっちゃうんですよ。
めちゃくちゃ面白かった、気持ちよかった。じゃ、次のゲームにって。
商品戦略的にロングテールになっていると、遊んでいる人の隣の人に、ちょっとなにをやってるかを見てもらえる可能性がある。
ロングテールが至上命令だっていう中でコレクション要素を付け加えました。
景品もちょっといじわるなのですけど、小出しにしているんですよね。
インタビュアー:
タイトルを分けた理由もそこにあるのでしょうか。
梅田社長:
日本のクレーンゲームは特徴的でして。
特に80年代くらい頃からのクレーンゲームが特徴的でして普通クレーンゲームって、世界のゲームセンターでは「脈絡なく楽しそうな素敵なモノがいっぱい詰まったハコ」、宝箱なんですよ。その中でキミ何が欲しいっていうか、まずはこの行為を楽しむというところから入って、その上で景品をチョイスする。
日本製ゲームって、クレーンゲームいっぱい並んでいるのをみて、そのなかで、「あっ、○○のぬいぐるみだ。コレ欲しい。」って、まず景品ありきでプレイする。
これけっこう特徴的で、なおかつそれ素敵じゃないですか。
けっこうねぇ、私そういう風にオタクなんで、自分の作ったゲームはきれいであってほしい。
雑多なものが入っているっていうよりは、これはもうねぇ水族館だよ、魚ばっかりはいってるよ、みたいなのを作った方が嬉しいので。というのも含めて景品にフォーカスした作りにしています。
ハイパーカジュアルゲームを作ろうと思った理由は?
梅田社長:
うちは筋金入りのハイパーカジュアルっていうか、カジュアルゲームばかり作ってきたので逆にハイパーカジュアルはちゃんとあまり理解していないですね。
たぶん、データドリブンなアプローチするのがハイパーカジュアルじゃないかな、と思ってるんですけど僕ら爺は手作業でコツコツとこれがいいんじゃないっていう作り方してる。
結局、出力されるものはハイパーカジュアルでいいような方向だとはおもうんですけどね。
動機としてはわざわざハイパーカジュアルを、これからはハイパーカジュアルだ。と思っているのではなく。
これまで通りのカジュアルゲームを作って、まぁ、これだってハイパーカジュアルだろ。みたいな。
梅田社長が考えるハイパーカジュアルゲームの今後は?
梅田社長:
Rich Internet Application(以下、RIA)、ブラウザゲーム、いわゆるWebゲームっぽいモノに寄って行くのは想像に難くないですけど
昔、PCが普及し始めた時ってWindows95の頃、大喜びで年賀状ソフトとか買ってたじゃないですか。
そのうち全部、Webアプリでこなすようになってってゲームも本当にカジュアルなヤツ。
いわゆる、ボクらが作ってるようなヤツはわざわざ買ってきてインストールするんじゃなくて、
どっかの紹介サイトからリンクで飛んでそこから遊ぶみたいな。
映画とかけっこう普通にブラウザで見れる。
DVDから観るのではなく普通にネットフリックスをブラウザから見れるんで。
なのでそういう、そのなんか、連続性っていうか。
決心しなくても見られるというのがすごい大きなことだと思いますし。
今アプリが、特にハイエンドなアプリがいちいちアプリの形態をしているのは完全に技術的な理由だと思います。
ユーザーからしてみたら別にもうそのまんまブラウザで遊べる方が良いにきまってるじゃないですか。
とはいえ、ブラウザで遊べないものもあるのでそういう意味ではハイエンドなゲームってのは今後もネイティブなアプリケーションが続けるかなぁと思うけど。
今後、カジュアルなゲームはブラウザゲームのようなものに、普通になっちゃうかなぁと思います。
『へなへな』シリーズの今後の展望について
そうですね。
案外ちょっと難しいですけど、動物園があるし水族館があるし、次は虫じゃんとか思ったりするかなw
ただじゃあ、女性もお子さんもとなると、
男の子だったら無茶苦茶よろこぶけど、本当にそれでいいのか? みたいな。
女の子に向けて、テントウムシだけで、それ虫図鑑っていえるの? っていうけっこう悩ましい問題でして。
既に出したヤツより劣っちゃうとダメだし、かわいらしくフルーツで行こうよっていった場合に、
そうすると、手間を省くために「スライム」「スライムベス」みたいなことを同じぬいぐるみだけど赤いやつ青いやつがいるから、「かわいいバナナのヌイグルミ」だよ、紫色の。
そんなの食いたくないよって話だし。
一昨日思いついたので新しいやつを作ってみようって思ってるんですけど、しばらくはまず今あるやつを一生懸命やってきます。
リリースして7年も遊ばれ続けている『へなへな』シリーズ。
今後も新しいシリーズがとても楽しみである。
梅田社長が最後にお話し頂いた新しいゲームにも今後注目していきたい。